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Published on Sep 24, 2026
Description:
─1─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 はじめに
はじめに
高1・高2・高3トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 にようこそ。
この授業は,難関大を受験する人に,土台となる知識をまんべんなくつけてもらう
ためのものです。
教科書レベルを欄外も含めて網羅し,さらに細かい部分まで解説していきますが,
講義内での情報は,あくまでも収録時点のものとなります。
①受講の仕方
予習は必要ありません。復習に全力を投球してください。
②板書について
基礎 〔ベーシック〕 を黄,応用 〔スタンダード〕 を白,発展 〔ハイレベル〕 を赤で。
ただ,授業はあくまでも聞くものだと思うので,極力少なくしています。テキストの
空白を多くしてありますのでそこに書きこんでもらえれば十分です。特別にノートを
用意する必要はありません。
③復習について
理想としては…,テキストをざっと見直す⇒教科書・参考書など読み物⇒一問一答
集⇒問題集⇒確認テストというのが一連の流れです。そこに図説資料や用語集などを
利用した調べ物を,適宜追加します。ただ,出来るようになれば何でも結構です。
※覚えていないのに問題を解くのですか? とよく聞かれます。すでに覚えているな
ら解く必要はないですよね。解いてから覚えるのではなく,解いて,間違えて覚え
るのです。
④推薦図書
・読み物系⇒各社教科書・参考書・ハンドブックなど
・図説資料⇒各社最新のもの
・用語集 ⇒各社最新のもの
・一問一答⇒各社最新のもの
・問題集 ⇒各社最新のもの
・過去問 ⇒センター試験・私大など (赤本・黒本・青本・緑本など)
とにかく科目の性質上 「新しいもの」 を心掛けてください。また,「売れているもの」
は市場 〔マーケット〕 で生き残っているわけですから,信用度は高いです。
あとは講義で。
伊藤賀一─2─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 テキスト
目 次
第1講 経済社会の変容① …………………………… p4
第2講 経済社会の変容② ………………………… p12
第3講 経済循環と現代の企業 ………………………… p22
第4講 現代の市場 ………………………… p34
第5講 国民所得と国富 ………………………… p44
第6講 経済成長と景気 ………………………… p52
第7講 金融① ………………………… p60
第8講 金融② ………………………… p68
第9講 財政① ………………………… p78
第10講 財政② ………………………… p84
第11講 日本経済の歩みと現状 ………………………… p90
第12講 農業問題 ………………………… p102
第13講 中小企業・消費者問題 ………………………… p110
第14講 労働問題① ………………………… p120
第15講 労働問題② ………………………… p132
第16講 社会保障① ………………………… p140
第17講 社会保障② ………………………… p148─3─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 テキスト
第18講 貿易と国際収支 ………………………… p156
第19講 国際経済① ………………………… p170
第20講 国際経済② ………………………… p180
このテキストは2020年度版です。年度切り替わりの前後に講座ページに掲載予定の時事更新一覧を
ご確認頂くことで,来年度以降もこのテキストをそのままお使い頂けます。─4─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 第1講 テキスト
1 経済活動
①「経済」とは?
A 社会全体の営み。明治時代,福沢諭吉が英語の「economy」を,中国の
「経
けい
世
せい
済
さい
民
みん
(世を治め民を救う)」という言葉から「経済」と訳した。
B 日常生活において合理的行動をとること。節約と同義。航空座席の「エコノ
ミークラス」などがその例。
C 財〔財貨〕とサービス〔用役〕が,生産・分配〔流通〕・支出(消費・貯蓄・
投資)されるしくみ。
②経済活動とは?
A 財とサービス
財は自由財(空気・水など)と経済財(商品),公共財と私的財などに分類
される。サービスは正確には財の一種であるが,ここでは分ける。
※経済財は,人間の欲望に比べて量が限られているため,売買や所有の対象
となる。
※公共財は,多くの人が同時に消費できる非競合性と,対価を支払わない人
(=フリーライダー)を排除できない非排除性とを有する。
あ 財〔goods,有益財〕
経済財のうち,衣料・食料・住宅・通貨・有価証券など,人間生活に
有用な有
ゆうけい
形のもの。生産財(原料・機械・工場など),消費財(耐
たい
久
きゅう
消
費財・半耐久消費財・非耐久消費財など),投資財(資本形成に向けら
れるもの)がある。
※代
だい
替
たい
材(コーヒー・紅茶・ココア・緑茶など)や補完財(コーヒーと
砂糖,ペンとインク,自動車とガソリンなど)という言葉もある。
※もちろんマイナスの財〔bads,有害財〕もある。
い サービス
経済財のうち,教育・医療・福祉・娯
ご
楽
らく
・修理・配
はいぜん
膳・演奏・宣伝など,
人間生活に有用な無
む
形
けい
のもの。
第1講 経済社会の変容①─5─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 第1講 テキスト
B 経済活動→人はすべて労働者・消費者・資本家。
財とサービスを生産・分配〔流通〕・支出(=消費・貯蓄・投資)すること。人々
は社会的分業・協業により特定の財・サービスを生産・分配しており,他者
の生産・分配したものと交換〔売買〕し,支出している。
※交換の場を市
し
場
じょう
といい,そこでは貨
か
幣
へい
が使用される。
※財とサービスは再生産(拡大再生産・単純再生産・縮小再生産)される。
資本主義経済では,新たな設備投資(純投資と更新投資)が行われ,拡
大再生産が目指される。
C 生産の3要素
あ 土地
い 労働力
う 資本
D 希
き
少
しょう
性
せい
資源は有限で,すべての人が無料で自由に利用すれば不足してしまう。そ
こで,優先順位を考えて最適な配分をするという経済的選択が必要となる。
何かを手に入れ(=利益・効用),手放す(=費用)ためには対価が必要と
なり,希少性が交換〔売買〕を生じさせる(=人間の欲望に比べ量が限られ
ているので)。交換条件を金額で表したものが価格である。
※経済性の原理は,最少の費用で最大の利益・効用を得ること,いかに効
率的か,にある。だからこそ分業・協業という発想が生まれる。
※「何かを得れば何かをあきらめなければならない」「あちらを立てればこ
ちらが立たず」の状況をトレード = オフという。その際,実際の費用だけ
でなく,他の選択肢を選べば得られたはずの収入も犠牲にしている(=機
会費用)と考える。
※社会全体での経済的豊かさや満足度を,経済厚生という。人が,公
こう
正
せい
か
つ費用を上回る利益・効用が得られる交換を自発的に行えば,経済厚生
は上昇する。─6─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 第1講 テキスト
③経済の3政策
A 成長政策
各分野の潜在的な生産能力を向上させる。
B 安定化政策
経済水準の変動を緩
かん
和
わ
する。
C 再分配政策
不平等・格差の是
ぜ
正
せい
を目指す。
④2つの経済体制
人間は,もとは自給自足経済だったのだが…。
A 資本主義経済=市場経済
「弱肉強食・優勝劣敗」の原理で資源の最適な配分が行われ,社会全体の経
済発展が促進される。市場経済における自由競争と利
り
潤
じゅん
追求,資本家によ
る労働者の雇用によって特徴づけられる。
※「結果の不平等」が自明なことから,「機会の平等」が意識される。
あ 私有財産制度
生産手段を中心とする財産の個人所有が認められる。
い 自由競争
市場機構〔市場メカニズム〕が機能している。
※機能しない場合=「市場の失敗〔限界〕」もある。
う 利潤追求の自由
え その他
契約の自由や労働力の商品化など。
B 社会主義経済=計画経済
共産党一党独裁の政府が五カ年計画などの経済目標を設定し,指令する。
※「結果の平等」が計画的に目指される。
あ 生産手段の公有〔社会的所有〕
い 競争を排除
う ノルマの達成が目的になりがち
え その他
キューバや北朝鮮など,一部にのみ残存する経済体制。─7─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 第1講 テキスト
〈Note 〉─8─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 第1講 テキスト
2 資本主義経済の成立と発展
①近世以前
A 原始共同体
採集〔獲得〕経済段階から生産経済段階(農耕・牧畜・遊牧)へ。
B 古代奴隷制社会
C 中世封
ほう
建
けん
社会
農
のう
奴
ど
やギルド〔同業者組合〕の存在。
※農奴には移住や職業選択の自由はない。
※ギルドには親方・職人・徒
と
弟
てい
のうち,親方しか加入できない。
D 近世主権国家体制
ルネサンス・宗教改革・近代科学の成立と絶対主義。
※16 世紀末~ 18 世紀半ばの絶対主義国家では,重商主義(重金主義のち貿
易差額主義)が展開された。
E 市民革命(17 世紀半ば~ 18 世紀)
私的所有権と自由権の確立。生産要素を用いて自由に生産活動を行い,得
られた利潤を自らのものとすることが容認される。
F 初期(商業)資本主義
18 世紀に入ると,イギリスでは第2次土地囲い込み運動〔エンクロージャー〕
により農業の生産性が向上,食料供給が増大した。その結果,人口が増加
して都市部に余
よ
剰
じょう
労働力が発生し,資本の蓄
ちく
積
せき
が進んだ。
※利潤を求め資本を蓄積し,生産を拡大する動機付けをもつ商業資本家が
登場。問
とい
屋
や
制
せい
家
か
内
ない
工業からマニュファクチュア〔工場制手工業〕段階へ。
②近代以降
A 産業革命(18 世紀後半~)
イギリスで始まった蒸気機関の発明による工場制機械工業化。産業の中心
は農業から工業へ,産業の担い手は地主・農民から資本家・労働者へと転換。
B 古典的資本主義〔産業資本主義〕
工場・機械などを所有し,生産を行う産業資本が成立。この結果,産業資本家
すなわち経営者による自由競争を原則とする,資本主義経済が確立した。
※そして,土地・工場・機械・原料などの生産手段をもつ有産階級〔ブル
ジョワジー・資本家〕と,生産手段をもたない無産階級〔プロレタリアー
ト・労働者〕の階級分化がみられるようになった。─9─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 第1講 テキスト
C 独占資本主義
19 世紀後半になると,資本主義の負の側面が目立ち,多くの産業分野で独
占化・寡
か
占
せん
化が進行し,貧富の差が拡大した。
※大量生産・大量輸送が可能になると,資本家・企業は規模の利益〔スケ
ールメリット〕を得ることに多大な関心をもつようになった。そして,株
式会社制度の発達がこれを促進した。
あ 資本の集積・集中→市場の独占化・寡占化
19 世紀末~ 20 世紀前半に重化学工業が発達。価格競争が行われにく
くなり,市場メカニズム〔価格メカニズム〕が十分に機能しなくなった。
い 激しい景気変動→恐
きょう
慌
こう
の発生
生産力の拡大とともに,供給が需要を上回る過剰生産がしばしば発生
した。
※国家が原料供給地や生産物の販路を求め植民地獲得を目指す,帝国
主義の拡大にもつながった。
※金融資本が国家権力と結びつくと,戦前の日本・ドイツ・イタリアの
ような国家独占資本主義の国家も生み出す。
う 貧富の差の拡大→格差の固定化
D 現代的資本主義〔修正資本主義〕
自由競争や市場原理の利点を生かしつつ,政府が積極的に経済活動に介入
すること。
※世界恐慌(1929 年)以後,市場メカニズムへの信頼が揺らぎ,政府や中
央銀行による経済への介入が求められるようになった。─10─
高1・高2・高3 トップ&ハイレベル政治経済 〈経済編〉 第1講 テスト
1 「経済」の意味としてふさわしくないものを選べ。
①社会全体の営み。
②日常生活において合理的行動をとること。
③財とサービスが生産・分配・支出されるしくみ。
④すでに経験済みの出来事。
2 冬場における代替材のうち,仲間外れの物を一つ選べ。
①コーヒー ②水 ③紅茶 ④ココア
3 以下のうち,サービスとしてふさわしくないものを選べ。
①教育 ②医療 ③娯楽 ④有価証券
4 以下のうち,経済活動としてふさわしくないものを選べ。
①生産 ②分配〔流通〕 ③支出(消費など) ④応援
5 以下のうち,生産の3要素としてふさわしくないものを選べ。
①動機づけ ②土地 ③労働力 ④資本
6 「何かを得れば何かをあきらめなければならない」状況をカタカナで何というか?
①クーリング = オフ ②トレード = オフ ③イノベーション ④エコノミー
7 以下のうち,経済の3政策としてふさわしくないものを選べ。
①成長政策 ②安定化政策 ③改革開放政策 ④再分配政策
第1講 経済分野確認テスト